第51章 身勝手な優しさ
「…………ふぅ。じゃ、私もう行くね。サクラちゃんとチヨバアさんにもよろしく〜…………」
ルナはそう言って、デイダラのところに向かおうとした。
「待て、ルナ‼︎」
カカシとサスケが、その背中に同時に叫んだ。
二人のルナを呼び止めた目的は、全く違ったが。
「………………なに?痛いから、もう帰りたいんだけど……まあいいや。ちょっと待って。」
ルナはそう言うと、印なしで命遁を発動し、欠損部分を補った。
急速に分裂する細胞が、ウジュルウジュルと蠢きながらもとの形通りの造形を成し、スルスルと伸びていく。
剥き出しの骨は筋肉に覆われ、筋肉は皮膚に覆われていく。
その様子は、気持ち悪くもあり、神秘的でもあった。
やがて、ルナの足が爪先まで再生し、修復が完了した。
しかし、ルナは気づかない。
さっき、身体と一緒に着物が消されたせいで、着物の丈がかなり際どいことになっていることに。
「あー、痛かった…………んで、何?何か文句でもある?
私は骨折って我愛羅を助けた。それだけ。今日は、戦いに来た訳じゃないの。
………………まあ、どうしても相手して欲しいってんなら、してあげないでもないけど、サスケ?」
ルナが地面から数cmのところにふわふわと浮遊しながら、クスクスと馬鹿にしたように笑う。
「…………っ……アンタはっ……」
サスケは、数年来の言いたかった台詞を口にしようとして、躊躇った。
自分で自分の存在理由を奪ってしまうのが怖いのは、当然だ。
それに、サスケの中でも完全に整理がついた訳ではない。
サスケはこの二年……ルナを憎む心と、ルナを信じたい心、その両方を抱え、彷徨いながら生きてきたのだ。