第51章 身勝手な優しさ
「…………じゃあ、行きましょうか、サソリさん。」
泣き止んだルナが、サソリを見上げ、薄く笑った。
「…………ああ。あ、そういや、デイダラのヤローは…………」
「……大丈夫です。私が守ります。
…………すぐに、会えますよ…………それまで、その指輪、私が預かります。」
「……わかった。」
ルナに言われるまま、サソリはルナに、『玉』と書かれた指輪を手渡した。
そして、デイダラと過ごした十年間を振り返って、まあ悪くはなかったな、と思った。
「影分身の術!
サソリさんのこと、お願い。私向こうに行ってくる。」
「ん、了解。気をつけてね〜。じゃ!」
ルナの影分身がサソリと共に神隠れに瞬間移動し、チヨバアとサクラの前には、本体のルナが残った。
「チヨバアさん、サクラちゃん、ごめんなさい。でも、さっき言った通りです。
私、サソリさんを死なせる気はありませんから。勝手で本当にごめんなさい。それでは。」
「待って、お姉さ…………」
咄嗟に、サクラがルナを引き留める。
「……ごめん。急いでるから。」
ルナはそう言うと、再び姿を消し、デイダラのチャクラまで一直線に飛んで行った。
「……お姉様……お姉様は、やっぱり…………」
さっきのルナとサソリのやりとりを思い出して、サクラは呟いた。
やはり、二年前のあの言葉は、嘘だったのだと。
赤の他人のはずのサソリを生かすために、あんなに必死になるルナが、うちは襲撃などする訳がない、
したとしても、止むに止まれぬ事情があったのだ、と。
一方で、こうも思った。
愛する人間を生かすために、あらゆる戦いに介入し、無理矢理にでも平定し、あるいは小康状態を作り出す。
それと世界征服が、どう交わるのだろうか、と。
サクラは今、ルナの真意の一歩手前まで迫っていた…………