第51章 身勝手な優しさ
そこからルナは手を出すことなく状況は進み、チヨバア、サクラとサソリの激闘が続いた。
三人を傍観していたルナは、三代目風影の砂鉄界法をコピーしながら、慎重に状況を伺っていた。
ルナの小細工……高い代謝能力の付与で、毒に強くなったサクラとチヨバアは、徐々にサソリを追い詰めていた。
サクラとチヨバアはそのことには薄々感づいていたようで、些細な負傷を恐れることはなくなり、攻撃がかなり大胆になっていた。
サソリは二人が負傷しても平気そうなのを見て舌打ちし、よりハイパワーな攻撃を繰り出すようになっていた。
やがて、チヨバアがサソリの父と母の傀儡を口寄せした。
その二体の傀儡を見たサソリに、一瞬の隙が生まれる。
チヨバアはそのタイミングを狙い、サソリの核を二本の長刀で突き刺さんとした。
(よし、今だ!)
瞬間、ルナはサソリを突き飛ばして姿を現し、自分の身体を盾にしてその刀を受け止めた。
ルナの身体を鋼鉄が貫き、純白の着物に紅が滲む。
「な…………」
突然現れたルナとその行動に、三人は状況も忘れて唖然とした。
「あー、いたたたた…………チヨバアさん、もう少しお手柔らかにお願いしますよ。」
ルナはそう言ってクスクスと笑うと、自分の胸と腹から刀を引き抜き、地面に放った。
勿論、チャクラ糸は切断済みだ。
ルナの血に塗れたそれは、地面に当たって乾いた音を立てた。
「な……お前、その傷で…………」
ルナの行動にチヨバアが驚き、追撃の手を止める。
「あぁ、サクラちゃんなら知ってるよね。この程度の負傷、私にとってはかすり傷みたいなもんですよ。
ほら、もう治ってますし。」
ルナが着物の引き裂かれた部分をチラリと捲って、肌を見せる。
そこには裂傷などなく、白い肌がのぞいていた。