第66章 千年血戦篇弍
雨が降っているため、炎月は基本不利となる。
この雨は水月由来の雨が呼び込んだものだ。一気に彼らを叩くまでは、悟られたくない。!
彼女の能力は多分、炎系統だろう。それを確かめるためには……
「氷月!」
氷の塊を幾つも彼女にぶつけた。それを捉えて私の方へ投げ返す。
数メートル先で爆発した。
「貴方の能力は、触れたものを爆発させる能力じゃないかしら?」
今度は、氷の刃に変えた。貫いた傷口から氷が侵食していくものだ。
「あ〜もう!バンビちゃんったらほんとにほんとに使えないなぁ!!!!」
「お前が血を抜きすぎたんだ。」
「もういい、それ以上バンビちゃんを傷つけられたら、勿体無い!あたしがやる!」
そう言うとジジと呼ばれた女の子が私の目の前で氷の刃を受け止めた。
「いったいなぁ!!……あれ?」
ジジは距離をとった。身体が数箇所、凍りづいている。
「氷の刃は切り口から氷が侵食して行きます。血などは出ませんが、凍傷にはなるでしょう。だんだんと身体が氷に支配されていきますよ。」
「はぁ?なにそれ。撃たれ損じゃん。」
踵を返して、バンビの元に向かった。
「ジジ!やだぁ、やだ!」
ジジはバンビの首に齧り付いた。声なきうめき声をあげるも無抵抗のまま血を吸われているようだ。
そのとき、視界の端に見えたのは、柱のようなものが上空へと登る姿だった。ほとんどの人は気がついていないのだろう。私は確信した。誰かが、きっと一護が、霊王宮に向かった、と。
そしてそれにはきっと彼が噛んでいるに違いない。
ジジは凍りづけになった場所を叩き割るとこちらをゆっくりと振り向いた。
「余裕ぶってんの、うざいんだけど。」
「目眩と吐き気は凄まじいですよ?薬ができるまで、寝てる訳にもいかないので仕方なく、戦ってるんです。」
「うざいなぁ!うざいなぁ!ころしたいなぁ!ねぇ!あんたまだ食べれないの!?」
「こいつもまずそうだからあんまり気がのらねぇんだ。」
「はぁ?いつもゲテモノばかり食べてるのにこんなときだけ美食家気取り?」
「多分、ジジがこいつを嫌うのも、俺がこいつを不味そうだと思うのもきっと、こいつが純粋な死神ではないからだ。」
「なにそれ」
ジジが私に向かってきた。
「水月」
雨水が不自然にゆっくりと落ち始めた。
いま、降っているこの雨の範囲が私のフィールドだ。
