第66章 千年血戦篇弍
「ジジ!滅却師完聖体で戦え!!!」
「えぇ?」
その瞬間、周囲の雨が滅却師に吸収された。
ジジもおかっぱもバンビも、周辺の滅却師にも。
そしてまた雨が降り出す。
「身体が、重い……! 」
「呼吸が、できない」
この技は、身体の水分量を強制的に上げることで水中毒を起こすものだ。
初めはめまいや頭痛、吐き気や嘔吐、錯乱が起こる。幻術系の水月は錯乱、つまり幻覚を見させてしまう。そして、肺に溜まった水はやがて呼吸を止めてしまう。
水月には一撃技は無いが、人型の敵相手にならばこれが致命傷を与えられる技と言えるだろう。
下っ端の滅却師は倒れているか、パニックになり、味方同士で斬り合い始めた。
バンビは既に仰向けで倒れている。
水月を掲げるとまた雨がゆっくりと落ち始めた。そして滅却師の体内に入っていく。
「一対一だったら、水を口や鼻から注入して窒息させる技もあるんですけど、こっちの方が広範囲攻撃になる。死ぬには時間がかかるけど、水月で殺さずともこちらで手をくだせばいい。」
「くそ……視界がだぶってきやがった」
「あれぇ……バンビ……ちゃん?あは、やめてよ、じょうだんだって……あっくるしい……あっ、が、」
「しっかりしろ、幻みてんじゃねぇ、くそ、クラクラする」
私はおかっぱの方に向いた。
「ジジって人の血を被ったら、バンビちゃんみたいになる?」
「……さぁな?」
「ん〜。内蔵から傷つけたりする技も持ってるんだけど。そっちの方がいいですかね?」
「やってみればいいじゃねぇか。」
その直後。いくつかの青い光が空から降り注いできた。
死神を狙っているものか、と思い、現状、防御としては最も堅い花盾を使えるように刀身を花月に変えて身構えた。
この術は水月を使っていることが条件である。彼らは咳き込み、大量の水を吐いた。とはいえ、基本的には症状が悪化しないだけで、治るのは暫くかかるだろう。この光を対応したら、花月の技で霊力だけ頂くとしようか。
「ゴホッゲホッ!!……カハ……っはぁ、はぁ、なんだこれは」
『ポインティ様、この光は滅却師を狙っています』
水月の言葉にえっ?と思わず声を出した。
「なんかやべぇぞ!!逃げろ!!」
黄色のおかっぱがジジを抱えて間一髪、洞窟に入った。