第66章 千年血戦篇弍
『死神のように、虚化の道すら残りません。だからこそ、滅却師たちは虚を根絶しなければならない。つまり、僅かばかりの虚の力を吸収し卍解を一瞬だけ虚化させることができれば卍解もまた滅却師にとって毒となる』
おっと、冬獅郎の霊圧が上がった。この感じはきっと卍解を取り戻したんだろう。
『仮面の軍勢の方々につきまして、虚化は攻撃面のメリットにもなりますが、消耗が激しい点はデメリットになる部分も多く、今回のような長期戦に不向きでしょう。虚化しながら卍解できない、否、しない理由には後者のデメリットが大きすぎるから。仮面の軍勢の方々にもこの丸薬を安心安全に使って頂けます。あくまでも、卍解に虚の力を宿す必要があるため、虚化卍解を戦略に入れないのであれば、この丸薬を摂取してください。』
たしかに、虚化の消耗はあまりにも激しい。卍解が出来るであろう御三方は虚化しないのが吉かもしれない。
『しかし、貴方は別だ、ポインティサン。』
「えっわた、わたし?」
ヤバ、天挺空羅の方からも私の声聞こえたわ
『はい、貴方は仮面の軍勢の方々とは成り立ちが異なる。あなたの虚化、内なる虚である直子サンは崩玉由来のモノ。虚の力を入れることで、均衡が崩れる恐れもあると同時に、花月がこれを察知して、この僅かな虚の霊子を無害化する恐れがある。』
「均衡が崩れることがあって、そうすることが最善ならばそうするかもしれないね。花月には臨機応変に対応してもらえるように言えるけれど……でもなんで均衡が崩れるの?直子さん、そんなにデリケートでは無いと思うけど。」
『そうッスね、恐らくはアタシも大丈夫と踏んでいます。しかし最もの懸念は数ヶ月前の魂魄破損による魂魄自体の脆さ。』
「でもあれは治してくれましたよね」
『しかし、金継ぎのようなもの。元の頑丈さは保証できません』
割れた陶器と同じッス、とのこと。
『しっかりと説明する前に、飛び出したもんッスから。あれから説明できる機会もあって、ちゃんと話せなかったアタシも悪いっけど。』
しばらく経ってからなんとなくの説明は受けた気がするけど、私自身どこか上の空だった気はする。魂魄を修復しても元の丈夫さには戻らないことは覚悟していたからそこは大丈夫。
「形あるだけで有難いです。それで、その脆さと関係があるんですか」