第37章 遊郭へ
どうであってもやることは変わりない。
新たな鬼である妓夫太郎の方が危険度はどう見ても上。
奴を斬らなければ。
己の耳に集中すれば、音柱である天元には目の前の建物の様子が手に取るようにわかった。
派手な激闘故に、上の階の人間はほとんど逃げ去った。
放つ攻撃が届く範囲には、現時点では妓夫太郎と堕姫しかいない。
そして今し方庇った男女二人も、血の斬撃から逃れ外へと出た。
背後にいるのは鬼である蛍のみ。
指に挟んだ三つの火薬玉を真上に放る。
同時にタンッと地を蹴った天元は、宙に浮いた火薬玉が落ちる前に綺麗に真っ二つに斬り裂いていた。
ドォンッ!!
三つ重なり合った爆撃は、天元の足場を崩した時の比ではない。
的確に角度を狙った爆撃は下には飛ばず、足場から妓夫太郎を爆ぜ飛ばした。
ぱらぱらと砕けた天井板が落ちてくる中、天元は目を逸らさず煙の中を睨んだ。
「…まぁ、一筋縄にはいかねぇわな」
口元が、ふとつり上がる。
鼻で笑う声は軽いが、目は軽視していなかった。
爆撃により大きな穴を開けた二階から落ちてきたもの。それは躑躅色の帯が幾重も巻き付いた巨大な丸い塊だ。
「オレ達はぁ」
しゅるしゅると解かれていく帯の中から、掠れた声がする。
そこには堕姫を肩に乗せて笑う、妓夫太郎の姿があった。
「二人で一つだからなぁああ」