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いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第29章 あたら夜《弐》



「っ…」


 頬を染めて蛍が俯く。
 そんな蛍に杏寿郎はくすりと頬を緩めた。
 何度抱いてもこうして時折見せてくる姿に胸は疼いて、堪らなくなるのだ。


「次は俺の番だな」

「ぇ…ぁ…っ」


 柔らかな髪に埋もれる旋毛に口付けて、自身の着物の裾を払う。
 既に主張している杏寿郎自身を眼下に収めて、蛍は赤い顔のまま息を呑んだ。

 優しい愛撫に焦らされた体は既に火照っている。
 稀血の誘惑はじわじわと蛍の体を染め上げ、血肉の代わりに精が欲しいと脳裏を揺らす。

 しかし喉を鳴らし待ち侘びる蛍に、望んだ刺激はやってこない。


「少し待っていてくれ。この状態では、挿れただけでは果てられそうにもない」


 下着をずらし顔を見せた太く天を仰ぐ陰茎。
 そこに片手を添えると、杏寿郎は熱い呼吸を繋いだ。


「ふ…っ」


 陰茎を握った掌で摩擦を起こす。
 上下に擦り上げれば、透明な先走りがとろりと下り掌を濡らした。

 ふ、ふ、と熱い息を短く繋いでいく。
 眉を顰め眉間に皺を刻みながら、己の欲を昂らせていく。
 いつもなら長く蛍の中にいたがる杏寿郎だが、今回は何事も急ぎ足だ。

 それ故の結果だったが、目の前で杏寿郎自ら自慰行為を見せてきたのは初めてのことだった。


「杏寿、郎」


 呼吸で整えている為か。何度も抱かれる合間に降り落ちてくるような汗は肌に浮かんでいない。
 しかし羞恥の混じるような頬の高揚に、切なげとも取れるか細い息継ぎ。
 その目で犯すかの如く、食い入るように蛍を一心不乱に見つめている。

 どくりと血脈が沸き立つようだ。
 からからと喉が渇く。

 血肉が欲しい。
 腹の底を鳴らす欲を満たしたい。
 それができなければ、その男の、精を。


「きょ、じゅろ」

「ん、むっ?」


 膝に抱かれていた体を起こす。
 被さるように杏寿郎の上に影を落とすと、蛍は無意識のままその唇を塞いでいた。

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