第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
蛍の片脚を支えたまま、熱さを取り戻していた自身で深く貫く。
更なる愛液を含ませていた蜜壺は易々とそれを受け入れ、かくんと蛍の膝から力が抜けた。
「ぁ、は…ッ!」
たった一突きされただけで、びりびりと全身に快感が走るかのようだ。
力が入らず縋る蛍の心許なく立っていた残りの脚に、杏寿郎が手を伸ばす。
「蛍。爪を立てて構わないから掴まっていろ」
「ぇ……あ"ッ」
軽々と持ち上げられた脚が、地面から離れる。
杏寿郎に体を貫かれたまま、両脚を抱え上げられ深く沈む腰にぱちんと蛍の視界が弾けた。
杏寿郎の二の腕に膝を抱えられる形で、咄嗟に頸に腕を回して縋り付く。
先程、背面体位で責められた時も最後には深く貫かれたが、今は最初から硬い亀頭が奥底を突いているのだ。
所謂、駅弁と呼ばれる体位を確認する余裕もなく、蛍は鳴いた。
「ぁッ! んあ…ッきょ、じゅろ…ッ」
「は…っはぁ…ッ」
体が必要以上に密着している為、一突き一突きに激しい律動はない。
しかし常に子宮の奥へと届かせんとばかりに揺さぶってくる長く太い熱棒に、目の前で輝く火花は止まらなかった。
不意に視界が明るくなる。
先程よりも月の光が強い。
杏寿郎を逆光に月光を浴びる蛍は、体中に快楽の電流が走る度に抜ける力に、原因を悟った。
「きょ、じゅ…ひぁッ…影、が…ッ」
ゆらゆらと波打つように、二人を覆っていた薄い影壁が崩れていく。
血鬼術を保っていられない程快楽の波に浚われながら、それでも絶え絶えに蛍が告げれば、すぐさま杏寿郎も状況を理解した。
しかしその目は、熱く目の前の蛍を見つめたままだ。
「気にするな、蛍は俺だけに集中していればいい…ッ」
「でも…ふァッあっ」
「誰の目にも映さない。俺だけだ。君のあられもない姿を、見ていられるのは」
ずん、と深く突き上げる度に、愛おしげな声で求めてくる。
正常位で向き合う時よりも、強く重なる体に触れ合いそうな程に迫る顔。
熱い瞳に捕らえられて、ぞくりと蛍の背が粟立った。
逃れられるはずもない。