第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
一度繋がってしまえば、その後は連続だった。
小さな快感が小波のように寄せては体を浸していく。
嬌声は止められず、甘く鳴きながら目の前の体に縋り付いた。
「蛍…」
「ぁ…っきょ、じゅろ…ッ」
低く甘い声で名を囁かれる。
それだけで体の疼きは増していく。
もっとその声で名を呼んで欲しい。
求めて欲しいと、喘ぐ最中に彼を呼ぶ。
柔らかな獅子のような髪に指を埋めて縋れば、金輪の双眸を揺らし杏寿郎は微笑んだ。
「蛍…好きだ…蛍、」
「っは…ぁ、私、も…好き…だいすき」
名を呼ばれる度、愛を紡がれる度、胸の内が締め付けられる。
満たされていく心に、見つめてくるその瞳の灯火が移るように。
「蛍──…愛してる」
首筋に顔を埋めて、愛おしげに告げられる。
途端に背中に甘い電流のようなものが駆け巡った。
「ぁっは…ん…!」
解され広げられていた小さな蕾の入口が、きゅうっと強く締まる。
ぴくぴくと小刻みな痙攣を繰り返して、蛍は体中を駆け巡った痺れに肌を赤らめた。
「っは…ぁ、」
「…よもや、今…」
一目瞭然だった。
囁くように告げられた愛の言霊ひとつで、体は高みへと昇り詰めたのだ。
「っ」
驚いた様子でまじまじと蛍を見ていた杏寿郎だったが、己の声一つで感じ上げた姿を前にして冷静ではいられなかった。
かっと、体の奥底から熱が迸る。
愛おしさのまま、絶頂の余韻を残す柔らかな体を抱き締めた。
「蛍…っ」
「ぁ…きょ、じゅろ……私、も」
強い抱擁に反応を見せた蛍の手が、そっとその背へ回る。
「あいしてる…」
舌足らずにも聞こえる甘ったるい声。
強い酒を煽ったかのように、それは思考を蕩けさせてくる。
「…後ろ、ばかりは、いや…」
更にその声は熱を帯びたまま誘うのだ。
甘い刺激は絶頂へと押し上げてくれたが、それだけでは足りないのだと。
「お腹、じんじんするの…こっちにも、頂戴」
子種を求めて下がる子宮が疼く。
己の下腹部に手を当てて強請る蛍を前にして、それ以上理性など繋ぐことはできなかった。