第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
「体が硬い。抵抗がまだ残っているな」
「…っ」
「俺は、俺の手で感じてくれる蛍はどんな姿も愛らしくて、綺麗だと思っている。小さな旋毛から足の爪先まで全て愛おしい。…だから蛍にも嫌いにはなって欲しくない」
蛍の体を暴いた知らぬ男への嫉妬だけではない。
そこに嫌悪しか感じなかった蛍の心へと寄り添おうとする杏寿郎の姿に、唇を結んだ。
「心地良いものなのだと、感じて欲しいんだ」
「…っ」
胸の奥が一瞬熱くなって、きゅう、と締まる。
「…じゃあ…いっぱい、愛してくれる…?」
肩から手を離して、迎え入れるように頸に絡める。
誘うように顔を寄せれば、優しく唇が重なった。
先程後ろから責め立てられながら交わした、激しい接吻とは違う。
互いへの慈しみを込めたような優しい口付けだった。
味わうように丁寧に口内を探りながら、時折唇を甘く歯み、舌を絡め合う。
愛おしさが溢れる度に、後孔の疼きもじんと高まった。
「っふ…ん、く」
「痛かったら言ってくれ」
「ん…っ痛く、ない…大丈、夫」
片脚を太い腕に支え抱えられる。
更に一本、隙間を見つけた指がゆっくりと後孔に挿入してくる。
くちくちと小さな音を立てながらなぞられ、自分の知らない感覚を引き出されていく。
未知の感覚に陥るものの、目の前の杏寿郎は灯火を持ちながらも優しい瞳を向けてくる。
鼻先に、頸に、鎖骨にと愛を刻むように唇で触れてくる。
彼から与えられる充足感に不安は感じなかった。
指先で胸の突起を転がされながら、ゆっくりと揉みしだかれるのも心地良い。
「っぁ…杏寿郎の指、ぜんぶ、気持ちいい…」
自然と呼吸が速くなる。
目の前に彼がいて、自分だけを見て、愛してくれている。
それだけで、じんじんと響く下半身の疼きが快感の波を寄せてくるようだ。
「ふっん…ぁ、あっ」
鼻のかかった息が漏れる。
胸へと吸い付く杏寿郎の歯が、充血した突起を甘く噛むと、ぴくんと体が震えた。
快感の回路を繋げるように、甘い痺れが全身を包む。