第45章 帝光祭
引くと押すを間違えたかとドアを引いたり押したりを繰り返すがが全く開く気配がない
同じように何回か試していると、トイレのどこかからクスクスと笑い声が聞こえてきた
「焦ってるよー可哀想じゃん」
「えーでも目立とうとするこの子が悪くない?」
『…閉じ込めてどうするんですか?』
「えー冷静!守ってもらってるだけのか弱い子だと思ってた!」
どんな人物を想像されていたのか。恐らく同じクラスの人物ではないし、バスケ部のマネージャーではない
クラスメイトは苗字が守ってもらってるような存在ではないと知っているし、バスケ部のマネージャーからはいきなり1軍にされて可哀想にと哀れみの目を頂いている
もしかしたら隠れてむかついている人がいるのかもしれないが、ここはマンモス校
流石に入って2か月で同学年全員はおろか全校生徒を知るはずがないと声の主の特定を諦めた
「私たちさー、苗字ちゃんのこと嫌いなんだよね
さっきのカジノとかもさ、1年の癖に目立ち過ぎじゃない?」
『…へー』
「だから劇大失敗して、みんなから嫌われちゃえばいいじゃん!って」
『バレた時の方がやばそうですけどね』
「アンタが白雪姫やるよりマシ」
「外出て使用禁止貼っとこ」
話的に先輩らしい彼女たちはバレた場合の内申点とか気にしないんだろうかと、出て行き紙を貼る音を聞いて溜め息を吐く
上を見るとさすが私立のトイレというべきか、個室の壁はちゃんと天井まであるので隣の個室に移ることも扉と天井の隙間から出ることも難しい
いやこういう時のために携帯はあるんだろうといつもいれているスカートのポケットを触ると、そこにいつもある重さも四角の物体もなかった
『携帯も、さつきに渡した袋の中だぁ…』
唯一取れそうだった連絡手段も彼女に預けた駄菓子の袋の中なので助けも呼べない
完全に積んだと蓋を占めたトイレに座り込む
『白雪姫、間に合うかなあ』
助けに来てくれるのが先か、舞台の幕が上がるのが先か
そもそもこのトイレにいることを気づいてくれるだろうかと若干弱気になりながら真っ白な壁に囲まれ、誰かを待つことにした