第44章 帝光祭について
練習も佳境に入った帰り道。いつも通りみんなと別れて苗字と赤司で2人歩いていると、彼女がいつもより難しい表情をしていることに気が付く
帝光祭か、それとも監督が入ってきて厳しくなった練習で何かあるのかと相談に乗ろうとすると、先に彼女から話しかけてきた
『1個気になることがあるんだけどさ』
「なんだい?」
『さつきってテツヤのこと好きだよね?どこ好きになったのか知ってる?』
赤司の呼吸が一瞬止まる。いつ桃井が黒子のことを好きになるか知っている苗字からしたら出会った瞬間から彼女が「テツ君テツ君」言っているのは大変不思議な状況である
なんなら黄瀬が灰崎以外のことを尊敬する人にのみ呼ぶ○○っちを既に黒子に呼んでいるのも気になっているが、そこはまあいい
赤司としては高尾と虹村には気が付いていたが、桃井に昔に戻ってるから黒子への態度を気を付けろなんて言えなかったし、言ったところでギクシャクしそうだともし言った場合のことを想像しながら返事を待っている彼女に向かって口を開く
「特に聞いていないね。一目惚れとかじゃないのかい」
『一目惚れ…?』
桃井から見た黒子の第一印象はそんなに良かっただろうかと思い出すが、そんなことはない
プレイスタイルを見てドキドキし極めつけがアイスの当たり棒であるため、まだ1軍にも上がってきていない黒子をどうして桃井が好いているのかが引っ掛かっていた
そういう世界線だと納得すればいいのかもしれない。黄瀬とて1年生からバスケを始めているんだと彼女は自分に言い聞かせる
『まあ人の好みは人それぞれだからなあ』
「名前の好みは?誰かいるかい?」
『あんまり考えたことないな…小学生の頃から恋バナもついていけなかったし』
「恋バナなんてしたことあったのかい?」
『修学旅行の時に大部屋ですっごい詰められたよ』
「そこは女子も変わらないんだね。男子もそんな感じだったよ」
『ふーん?そうなんだ』
「確か、名前のことどう思っているか聞かれたね」
修学旅行なんて10年近く前の話。だがそんな話をしたと苗字に伝えると、今度は彼女の動きが一瞬止まった
話をしなかっただろうかと思い返すが、感想を言い合っただけで修学旅行の夜にどんな話をしたかは話した覚えはない