第45章 前方互換アノード
パチッ、と紫電が一閃。
次の瞬間、青白い光の粒子が視界いっぱいに飛び散る。
血飛沫のようなそれは、文字列だった。
センテンスだったものが千切られ、バラバラになっていく。
その源は、エドの背中だ。
そしてエドの背後に立っているのは、
「香くん!」
視界がびゅんと過ぎ去る。
腕を強く引かれ、自分が走り出していることに気づいた。
後方に青白い粒子――エドの“ソースコード”が飛び散っていく。
「“バラバラ”になりたい?」
追いかけてくる声は、紛れもなく香くんだった。
初めて会ったときとは比べ物にならないくらい、冷え切った声だった。
――香くん、本当に、バグに操られてるんだ――!
『すみませんっ! こちらのサーチにひっかからないんです!』
ライヴィスの、ほとんど悲鳴のような返答に反応する暇もなく、追撃が襲いかかる。
向かいの建物の屋根――つまり頭上から香くんが降ってきた。
信じられないスピードで追い付かれたのだ。
それだけじゃない。
香くんの腕が、肘くらいから刀身に変わっていた。
青白い紫電を纏って、斬撃となった腕が振り下ろされる。
「――ッ」
「エド!」
キンッと金属同士がぶつかる音。
見れば、エドの手元で青白い光の粒子が盾を形成していた。
おそらくエドがプログラミングした仮想の盾だ。
もう、本当にゲームみたいで何が何やらわからない。
盾に突き飛ばされ、香くんの体が吹っ飛ぶ。
と思いきや、勢いを利用して飛びのいただけだった。
いったん近くの屋根にシュタッと着地しては、すぐさま再び斬りかかろうとしてくる。
「私が食い止めますから、走って!」
「でも――あっ」