第45章 前方互換アノード
『――時間です!』
「OK、行きましょう」
ライヴィスとエドの合図は、10分が10秒だったと思えるくらいあっという間にやってきた。
そろそろとドアを出る。
マップに映し出されたとおり、周囲に靄はいない。
ルートを辿って走り始めるが、まもなくポツポツと靄が現れだした。
奴らの動きは鈍い。
こちらが走っていれば、追いつかれることはない。
『この路地の突き当たりを右です!』
ナビゲーションを担うライヴィスの声に従い、薄暗い路地に飛び込む。
と、視界にキラキラしたものが現れた。
それは突き当たりを左に曲がっていく。
金髪のイケメン(?)がもう一人!?
思わず視線で追うと、突然倒れるように金髪が揺れた。
靄に押し倒され、“エド”が背中から倒れていっていた。
「っ、エド!?」
咄嗟に方向転換し、霞めがけて駆ける。
ドンッと考えなしに体当たりすると、人の体のような輪郭が伝わってきた。
勢いのまま転がって壁にぶつかると、目の前には、やばい、靄が――
ドウッッッ
みたいな音を立てて、その靄が横にかっ飛ぶ。
靄がいたはずの音源には、右ストレートを叩き込んだ、エドァルドさんが……
「え!? エド!?!?」
「もう! あれはデコイだったのに!」
怒っている。というかちょっとキレ気味である。
聞けば、エド(偽)は陽動のためのエドを模したプログラムらしい。
言われてよく見ると、私がエドだと思っていたエド(偽)は、どことなく薄い。
印刷するとき、そこだけインクがかすかすになってしまったような、グラフィックがそこだけ薄くなってしまったような。
「そんなこと言ったって、私には普通にエドさんがやられてるようにしか!」
「……本当に、聞いていた以上の人だ」
「え?」
「行きましょう! “バグ”が集まってきたようです――」