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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第45章 前方互換アノード





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ギ、ギル、お願い」

大粒の雨が、震える懇願をかき消した。

彼女の顔は、傘を忘れたようにずぶ濡れになっていた。

実際雨にも濡れているのだろう。

泣きじゃくっているためか、眼球は充血し、目元は赤く腫れている。

彼女が肩で支えるのは長身痩躯の男――ギルベルトだ。

「もう、戻らなきゃ……っ!」

「大丈夫だって。んな泣くな」

「だって、ち、血が……っ」

彼女の言うとおり、ギルの足元には赤い水溜まりができていた。

ポタポタと、後方にも血の跡がある。

どしゃぶりとは言わないまでも、間断なく降りしきる大きな雨粒に洗い流され、それは数歩前までしか残されていない。

ギルは、脇腹をかばうように押さえながら立っていた。

顔色は、いつもよりもっと蒼白だ。

「俺様は強いんだから、心配すんな」

そう言って、肩に回した手を彼女の頭にぽんと乗せた。

ギルは目の前の電波塔を見上げる。

憂いを帯びたその彫刻のような横顔を、私は見たことがあった。

でも、じゃあなぜ、




“私が隣にいる?”




ギルが、ふとこちらを振り向き、

「――え」

小さく、笑いかけてきた。

二人の姿が、声が、ゆっくりと遠ざかる。

雨音が止んでいき、遠雷はもっと遠くなっていく。

トリップのときに感じるような、ここではないどこかへの中心へと、引きずり吸い込まれていくような。

「待って――」







――これは、いつの記憶?
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