第3章 アイツにだけは、教えない。
大体のテリトリーは知っている。
仲が悪いわけではないので日常の会話から推測できる。
図書館に書店。クラシックのかかるレトロなカフェ。(ハルカは名曲喫茶と呼んでいた)
そして街中にある小さな映画館。
普段ラフな格好をしてる俺にはハルカの着る襟のついた服は息苦しく感じた。
比較的シンプルで落ち着きのある格好ではあるものの少しばかり堅苦しい感じがしないだろうか。
家を出る前
「あら?ハルカ。もう帰ってきたの?」
なんて母親に聞かれ笑ってしまった。
そのせいで俺がカナタであることがばれてしまった。
まあ母親なんだから気づいてくれよってのもあったけど、これはまた別の話だ。
「カナタったら。
子供染みた悪戯はやめなさいよ、もう」
ウィッグがとれそうになるくらい頭をくしゃっと撫でた。
反抗期の頃すら俺たちを構い倒した母親。
ボディタッチが多いのは最早うちのなかでは当たり前の光景だ。
ハルカはしかめっ面してたまに拒むが俺は結構好き。
マザコンとかそういうものではないと思う。
人の暖かさとして結構誰にだって触られるのは嫌いじゃない。
俺を撫で回して満足したのか次にスマホで俺を撮影してた。
ぴーす。ポーズをとる。
「やだ、それじゃハルカに見えないわよ」
「だね」
俺はカメラから目線をはずして棒立ちになる。
「カナタ、今いい感じにハルカよー」
嬉しそうに撮影をする母親。
撮影会は5分ほど続いた。
「そうだわ。あのひとにも見せたいわ」
「母さん。ハルカには内緒だからな」
「えっとおー。写真を送るには…と」
俺は忠告したものの母親はその撮った写真を父親に送るのに忙しそうにしてた。
俺はこの隙に家を出た。
太陽が眩しかった。
ハルカはいつもこんな眩しいなか出掛けるのか。
夜に遊ぶ方が多い俺と昼間外に出るハルカ。
双子なのに正反対だ。
こんなものだからきっとハルカが気にしてる女は俺の趣味ではないだろうと勝手に決め込んでいた。