第26章 友達の家の匂いって結構ずっと覚えてる
新八「できましたよ」
神楽「朝飯アル〜〜!」
食べたいとごねる神楽に新八が折れた。
朝からコロッケだと。
銀時「銀さんの胃のことも考えろよ。大人の胃は気難しいんだよ。一回拗ねるともう手つけられないからね。こっちがどんだけ謝っても許してくれねェから。最悪腸と手組んで反乱起こしてくるからね」
神楽「さっきからガタガタうるせェぞ天パ!こっちが反乱起こしてやろうか!!」
銀時「ぐぁ…っ、」
脂の受け入れ体制が整わないまま寝起きの体にコロッケがぶち込まれる。
もうキツいんだよ。
銀さん気持ちは少年の頃のままだけど体はそうもいかないんだよ、ほんと。
銀さんの脳はもうパブロフってるから朝起きたら卵かけご飯って覚えちゃってんの。
目覚めた時からその気になっちゃってんだよ。
こんな油でカラッと揚げられたホクホクのじゃがいもなんて……
銀時「…美味い」
普通に美味かった。
神楽「1人3個なんてケチるなよメガネ。山ほど持って来いヨ。全部私が食べてやるネ」
新八「あ!ちょっと神楽ちゃんそれ僕の分!」
神楽「あぁ?どーせ姉御の家で朝飯食ってるんだから少しくらい分けろヨしみったれメガネ!お前のこともメラ○ーマでカリッと揚げてやろうか!!」
新八「しみったれメガネ…」
何とか死守した1つのコロッケを噛み締める新八を横目に、手元にあったノートをパラパラとめくっていく。
大したもんだな。
こんだけ量がありゃ1月くらい余裕で毎日違うもんが食えるだろうよ。
銀時「…お、何だこれ」
最後の見返し部分に小さく何か書いてあるのを見つけた。
銀時「ん?」
その文字は少し滲んで読みづらい。
銀時「み、んな…?」
丸っこくて小さい字。
そこには一文だけ綴られていた。
“みんなに出逢えて、本当に良かった”
その時、微かに香った甘い匂い。
俺はその匂いを知っていた。
銀時「…、さくら…?」
神楽「銀ちゃん」
新八「銀さん」
呼ぶ声に振り返る。
銀時「…」
2人は口をへの字にひん曲げて今にも泣き出しそうな顔をしていた。