第26章 友達の家の匂いって結構ずっと覚えてる
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さくらがいなくなって数週間が経った頃。
俺はイラついていた。
はっきりとした理由はない。
それでも頭の片隅を離れない焦りにも似た消失感。
きっかけは以前仕事を依頼してきた客とのやりとりだった。
「あ、万事屋さん!」
銀時「?」
街をぶらぶら歩いていると後ろから声がかかった。
振り返って見るとそこにはどこかで見たことのあるような、やっぱりないような女が立っていた。
町娘「お久しぶりですわね?その節はお世話になりました」
銀時「…」
誰だっけ。
お久しぶり?いつ会ったっけ。
その節ってどの節だっけ、なんだっけ。
どっかで見たような気はすんだよな…
町娘「あら?もしかして私のこと覚えてませんの?」
銀時「え?いや、そんなこたねェよ」
いやいや誰だっけ。
これっぽっちも思い出せねェけど。
“おせわになりました”ってことはきっと客だろ?
…思い出せ。
この街でいつ仕事が入るかも分からん万事屋続けるためには人脈が唯一の命綱だ。
その客の顔忘れたなんてことがありゃ数少ねェ信用が地に落ちる。
最近あった依頼で女が依頼主の仕事は…
銀時「あ!アレだろ?付き合ってる男に8股疑惑が浮上して探偵依頼してきた…」
町娘「いやしてませんけれども」
銀時「あ、アレェ?じゃ、じゃああれだ!別れるなら死んでやるゥゥウ!つって脅してくる男と別れたいから別れ話の時用心棒してくれって言ったあの…」
町娘「言ってませんわね」
銀時「それならアレほら!数ヶ月連絡が取れない男を探してくれって依頼の…!」
町娘「…私はそんなに男絡みで何かあるように見えるのかしら?」
もう許して、誰なのこの女。
町娘「でも探し物はあってますわ。探してたのは猫ちゃんですけれど」
は?猫?
銀時「あー!あの時の山猫か!」
町娘「メアリーちゃんですわ!」
銀時「思い出した思い出した。メアリー○ュンちゃんな」
町娘「それ高橋さんちのメアリーちゃん!メアリーちゃんは一条メアリーちゃんですわ!」
女の高い声があたりに響き渡った。