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第1章 strategie


触れるか触れないかギリギリのキスを何度がする。

それだけで彼女の息が上がるのが分かった。

吐息が俺のくちびるにかかり興奮した。


「怖い?」

俺が耳元でそう囁くと

「ごめんなさい。」

なぜか彼女が謝る。



もうやめてくれ。

謝らないでくれ。

怯えた目でこっちを見ないでくれ。


自信がなくなる。自分がイヤになる。



「俺のこと怖い?」



彼女の目は泳いでいた。

なんて答えたら良いのかわからないのだろう。


そりゃそうだ。

はい。怖いです。なんて答えられるわけがない。

しかし、以外な答えが返ってきた。






「いや、…好きです。」

え…。

俺は固まってしまった。

「めっちゃ好きです。ファンです。」

ファン…。

俺のファンなのか。

「本当に夢を見ているみたいでどうしたら良いかわかりません。」

潤んだ瞳で震えながら彼女はそう言った。

ファンに手を出してしまったという後悔よりも、なぜか安心感の方が上回っていた。


なんや。

ファンなのか。

そうか。

簡単ではないか。

俺が舞台を見に来たことだって、タクシーに乗せたことだって、部屋に連れたことだって、ファンなら嬉しいに決まってる
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