第2章 Opening
[病室の中の真実]2
〜〜四番隊隊舎〜〜
冬獅郎と奈々美が廊下を歩いていると、四番隊の隊員だと思われる薬品を持った如何にもひ弱そうな少年に出くわした
「あっ、お疲れ様ですぅ日番谷隊長。…お見舞いですか?」
「まぁな。まだ起きねぇか」
「そうですね。外傷の他に精神面の傷の方が深く残ってしまっているようで…。
えっとぉ…スミマセン、そちらの方は?」
不意に二人とも奈々美へ視線がいき、奈々美は思い出したかのように自己紹介を始めた
「すいません申し遅れました。本日付けで十番隊三席に着任しました楠木奈々美です。以後お見知り置きを」
「うっえっ?!三席さんでしたか!これは失礼しました。僕は四番隊七席の山田花太郎です。宜しくお願いします」
花太郎と申した少年は「じゃあ僕はここで」と軽く挨拶をして足早に去って行った
ガッシャーーン!!
「うわぁ!スミマセンごめんなさぁい!!」
彼が去って行ったすぐ後、この様な声が廊下に響き渡った
「すみません日番谷隊長。そろそろ四番隊に来た理由を教えて貰ってもよろしいですか?」
病室が永遠と続く廊下を歩いている時、奈々美が痺れを切らしたのかこう口を開いてきた
すると、冬獅郎は一つの部屋で足を止めた
「…着いたぞ。楠木、お前に一つだけ言っておく。これは事実だ」
それだけ言うと、病室のドアを開いた
広い病室の中にベッドが一つだけある極めて殺風景な部屋には、黒髪の二人がよく知る人物が横たわっていた
「えっ…桃ちゃん?……桃ちゃん!!!」
奈々美が大声を上げるのにも無理はないだろう
なんせ、自分の大好きな幼馴染みがベッドに横たわって起きないのだから
「…ごめん」
涙を流し、桃の側に近寄った奈々美を背に冬獅郎の小さな声が病室に響いた