第2章 Opening
[病室の中の真実]1
あれから何時間が経っただろうか
奈々美は冬獅郎から書類処理の方法を教えて貰い、実際に処理にあたっていた
その理由はやはり副隊長の所為であり、日々の業務のサボりから近日中までの書類が溜まってしまい、本来なら今の時間は自室で休める所を狩り出されてしまったのだ
「本当にごめんねぇ?奈々美。今度何か奢るから」
「えっ?本当ですか?!じゃあ美味しい甘味屋さんに連れてってください」
「オーケー任せといて」
すると、今まで黙っていた冬獅郎が口を開いた
「楠木、悪いがこの後少し付き合ってくれ」
二人が幼馴染みという事を知っていた乱菊は納得したような表情だったが、奈々美は言葉の意図が分からない様子であった
「?…分かりました」
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「お前たちが霊術院にいた時、護廷十三隊で三人の隊長が尸魂界を裏切った事は知っているな」
今日の業務が終わり、入隊初日から残務ではない事を喜んでいた奈々美に冬獅郎からこう言葉を掛けられた
「うん。あの時は霊術院自体がしばらくその話で持ちきりで。噂では一人胸を斬魄刀で突き抜かれた人がいるって」
(やはり名前は伏せてあるのか。コイツが知ったらどんな反応するんだろうな)
「どうしたの冬獅郎?…じゃなかった。今はもう日番谷隊長ですね」
「別に呼び方や言葉遣いは昔のままでいい。大体それにお前に敬語とか遣われると調子が狂うんだよ」
「ひどーい!!でも副隊長の乱菊さんが敬語なのに私がタメ口遣う訳にはいかないからね。敬語にしておきます」
「お…ぅ。そっか」
そうこうしている内に気付けば二人の足は四番隊の前まで来ていた
〈四〉と大きく書かれた門は、今日入隊してきた奈々美でも用意に四番隊だと理解できた
「四番隊…?どうしてこんな所に」
「お前に教えておきたい事がある。着いて来い」