第2章 Opening
[謝罪]1
*冬獅郎side*
今日の新入隊員の入隊日で、まさか奈々美に会えるとは思ていなかった
十番隊にも女の三席が来る事は知っていたがな
書類が入った封筒を開ける前に松本に取られてしまった
取り返そうと思っても奴はわざと高い場所へ置くから取り返す事が出来ない
お前は今月減給だ馬鹿野郎
俺には見せてくれない書類を一人で見て可愛いなんて言ってやがったが、今思えばそれが奈々美なら可愛いに決まってんだろ
久しぶりに見たアイツは何年か前最後に会った時よりも少し大人びていて身長も伸びていた
肩を並べて歩いた時にこっそりと比べたら、まだ俺の方が高い
取り敢えず一安心だ
隊舎に帰ったら何やら松本から熱い抱擁を受けていたが、それは放っておこう
「来い楠木。書類処理のやり方を教える」
あれ、俺今奈々美の事苗字で呼んだか?
初めて苗字で呼んだかもしれねぇな
仕事上名前呼びする訳にはいかねぇからな
苗字呼びが当たり前になる日は来るのだろうか?
俺の予想だとコイツは雛森が意識不明だと言う事は知らない
何やら山本のじぃさんが隊首会で個人名は他言無用だと言っていた様な気がする
まぁ案の定知らなかったんだがな
俺の所為で雛森が殺されかけたって奈々美は俺の事を嫌うだろうか
その後の自分の気持ちを確かめたら嫌気が刺してきた
(…なるようにしかならねぇだろ)