第2章 再会。
「あ、やっぱりあの白雲だ。」
平和に過ごせそうと思った矢先、聞きたくもない声が聞こえてきた。
「中学ぶり、俺のこと忘れる訳ないよね。」
「・・・・・・。覚えてなかったし、思い出したくもないけど、その腹立たしい声を聞いたら思い出した。」
三浦・・・祥大。私の弓道でのライバル。部活や練習はサボってるくせに大会では凄い成績を残す。そんな怠け者。しかもクラスは毎年一緒の腐れ縁。ここでもまた一緒になるなんて私も相当ついてない。
「花はやっぱり弓道やるよね!?」
「もちろん。葵は華道部?」
「まぁね。」
「え、なに?花って弓道やってんの?」
「一応。家が弓道の家元なの。担任の中村先生はうちの道場出身だよ。」
遥くんは驚いたみたいで、目を見開く。
「じゃ、もしかしてあの白雲流?うわ、後継者に会うの初めて。」
「遥くんって弓道の流派に詳しいんだね。ついでに言うと、そこの三浦も三浦流の後継者。みんなには言ってなかったみたいだけど。」
三浦流は白雲流よりメジャーな流派ではないけれど、わかる人にはわかる流派のはず。三浦流は守りが基本の流派で白雲流は攻撃が基本の流派。両家は互いに共闘することもあった。だから、三浦流だけは知ってた。三浦自身に三浦流は合わなくて、私自身に白雲流は合ってない。家元だからといって、全員が流派を使いこなせるかとはまた違う。親と比較されるだけの日常に飽きていた仲間。三浦は嫌いだけど、私にとっては大事な存在でもある。同じ哀しみをわかってくれる。自分を理解してくれる。
「祥大が三浦流!?」
「こういわれるのが嫌で周りに言わなかったのに、相変わらずだね、白雲は。」
「あなたにだけは言われたくない。」
「ヒドイこと言うなって。」
三浦だって中学の時と何ら変わりない。少しは真面目に弓道に向き合うようにはなったらしいけど。どんどん授業は進んでいくなかで、クラスのみんなとは馴染めたと思う。