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死のゲーム

第6章 不思議な本


それから浩ちゃんは泣いている私の頭を撫でていてくれた。浩ちゃんの手は昔より一回りくらい大きくて、私の頭を簡単に掴めそうだった。
しばらくして浩ちゃんと街中を歩く。浩ちゃんは優しく私の手を引いて歩いてくれた。
「よし、どこか行きたいところあるか、花?」
「え、いきなり!?うーん、本屋さんかな。新しい本も欲しいし。」
「じゃあ行くか。」
「うん!」
久しぶりに浩ちゃんと二人で買い物に出かける。浩ちゃんが道場にいた頃は毎日のように一瞬に買い物に行っていたから少し懐かしい。
歩いていると、浩ちゃんは春日書堂というところで、足を止めた。看板は少しレトロな雰囲気があって、私は見た目だけでその本屋さんを好きになってしまった。店内に入ると、そこはまるで森の中にいるような、そう思わせるようにヒノキのいい香りがした。このお店には人を惹き付けるような何かがあるのかもしれない。そう思ったときには一冊の本を手にしていた。ハッとして本の表紙を見ると、死のゲームというタイトルが書かれていた。なぜ、この本を手にとったのか、わからないけれどこの本は期待を裏切らない。そんな気がした。浩ちゃんにこの本が欲しいから買ってくると伝えたら、私の趣味を浩ちゃんに笑われそうだから一人で買いにいった。レジに立つ女の人は大学生くらいでショートカットの髪がきれいだった。
「この本、買う人なんて初めて見ました。」
「え、そうなんですか?一冊しかないから売り切れになるのかなと思ってて・・・。」
「この本は有名な方が最期に書いた作品らしくて、世界に一冊しかないんです。そんな本がどんな流通方法でうちに流れてきたかはわからないけど、でも幻の作品だから大切にしてあげてくださいね。」
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