第16章 Christmas date
~蔵馬side~
オレたちは人気のない、近くの庭園で話すことにした。
大きな噴水に、通り道の周りには花壇がある。
といっても、今は冬だから咲いている花はない。
オレたちは近くのベンチに腰かけた。
勿論会話はなかった。ここに来るときも。
「……時音」
しばしの沈黙を、オレが破る。
「…どうして、オレが喜多島のこと好きだと思ったの?」
時音「……麻弥と話しているときの蔵馬の顔、とても優しかったから…かな。
それと、女の勘」
「…………。」
時音「私の質問、答えて」
「…………好きだった」
時音「そっか…」
「……ごめん」
顔をうつむかせながら謝る。
謝ることしか出来なかった。それ以外に言葉なんて見つからない。
時音「どうして、ちゃんと言ってくれなかったの?」
「…………オレが喜多島を好きなったこと
を時音に話したら、キミが離れて行くとおもったんだ…」
時音「…………私、そんな心の狭い人だって思われてたんだ」
「っそういうわけじゃ!!」
時音「私!確かに寂しかった。苦しかったし、辛かった。でも、最初に離れて行ったのは蔵馬の方でしょ!!」
「っ……」
時音が言ったことが正しく、オレは言葉を詰まらせる。
時音はさらに自分の想いを言葉にしていく。
時音「蔵馬ずるいよ!!私のこと突き放したクセに、私と一緒にいるようになってから都合のいいことばっかり言って……
蔵馬にはわからないよ!!理由もわからないのに避けられ続けた私の気持ちなんか……
蔵馬が麻弥と幸せそうに話す姿を見て、私ずっと……ずっと焼きもち妬いてたんだよ!!」
「…………時音」
時音「私だって、焼きもちくらい妬くよ!!」
すると、時音の頬には涙が一粒流れる。
「……時音、泣いてっ」
時音「…っ、泣いてなんかないもん!」
また強がる時音。
二年生になるまでは、素直だったのに…。
時音「……どうしてこんな想いしなくちゃいけないの!?
私、いつからこんなに変わっちゃったの?
もう…ヤダ、よ…」
そうか、わかった。