第2章 似ている
「恵、くれぐれも変な気は起こさないように」
悟は恵くんに念を押して、仕事があるからといなくなった。
「ねぇねぇ、変な気って?」
「……知らなくていいです」
恵くんはちゃんと知ってるんだ。
――年下のくせに。
私は悟が戻ってくるまで、恵くんの部屋で過ごすことになった。
さっき会ったばかりの男の子とふたりっきりなんて……気まずくてしょうがない。
しかも――弟かもしれない子。
「恵くんのお父さんって……どんな人?会えたりするのかな?」
「あんなやつ……会うのは無理だと思います。俺ももう、何年も会ってません」
「そっか……」
もし本当に恵くんと姉弟だとしたら、父親のことを聞けるかと思ったが、彼は父親のことを話したくはないようだ。
結局、部屋は沈黙に包まれて、窓から差す日の光がなくなっても、悟は帰ってこなかった。