第6章 気持ち
「なぁ俺……殴られたりしねぇ?」
空も暗くなり、私を寮の部屋まで送ってくれる恵。
――私の方が年上なのにな……。
「誰に?」
「誰って……乙骨先輩だろ」
ありえないことすぎて、吹き出してしまった。
あんなに優しい人が恵を殴るわけない。
弟だと知っているし。
「大丈夫だよ」と手を引いていく。
寮の建物が見えてくると、入り口に人影があった。
近づいてくると、憂太だと気づく。
「おかえり。遅かったね」
「ただいま。ごめんね」
憂太の視線が下を向く。
その先には、恵と繋いだ手があった。
――つい、そこまま来てしまった。
繋いでいる方の肩に触れ、下りていく。
自然と恵とは手が離れて、私の手を握るのは憂太の手に変わった。
「伏黒くん。次は、もう少し早い時間に千景を返してね」
「は、はい……すみません」
慌てて憂太に、「私からお願いしたの!」と、恵を庇う。
憂太に連れられて、寮に入っていく。
少し、ピリピリしていた。