第6章 気持ち
放課後、街で買い物をしていると、ツンツンした黒い頭を見つけた。
走って近付き、声をかける。
「恵!どこか行くの?」
「あぁ、千景か。津美紀のとこ行く」
津美紀って――恵のお義姉さんだよね。
呪われて寝たきりになってるとか……。
挨拶だけはしたことがある。
「一緒に行ってもいい?……って、図々しいよね。ごめん」
「いや。津美紀も喜ぶんじゃねぇか?」
恵の意外な返答に驚きつつも、「ありがとう」と答えてついていく。
電車に乗っていると電話がかかってきたが、出ることをせずにメッセージを送る。
"恵と一緒に出掛けてる"とだけ送ると、"気をつけてね"とだけ返ってきた。
どこに行くかも言っていないのに、何も聞いてこない。
弟だということを伝えているからだろうか。
「そうだ、恵。憂太だけ、知ってるからね。私たちのこと」
「ふーん。……付き合ってんの?」
まさか、恵の口からそんなことが出るとは思わず、驚きながら頷いた。
憂太は特に"言うな"とも言っていなかったし、いいよね?