第5章 君だけ
夜、ご飯もお風呂も済ませて、扉の前に立っていた。
"少しなら"って言っていたけど、結局どうなったんだろう。
入ってもいいのかわからずに、ノックしようとする手が固まる。
だが、ここまで来てしまったので、意を決して、コンコンと控えめに響かせた。
「ゆ、憂太……」
「はーい。……千景、待ってたよ。おいで」
扉を開けた憂太は、優しく私の手を引き、部屋の中に入れてくれる。
今までとはどこか違う、優しくて甘い声。
――憂太も、私のこと好きなの?
好きって言いたい。
触れたい。
キスしたい。
全部、憂太としたい。
「憂太ぁ……触って」
「この前、なにされたか忘れたの?……そんな顔で見つめないでよ……ぐちゃぐちゃにしたくなる」
ベッドに座らせられて、立ったままの憂太の裾を掴み、見上げた。
憂太の目には、確かに熱の色が宿っている。
「だって、足りない……憂太が、足りない……厭らしい子で、ごめんなさい……」
「ううん、可愛いよ。僕だって、千景が足りなくて触れたいけど、まだ出来ない……」
憂太に"可愛い"と言われて、心臓が暴れ出す。
また、何かやらかしてしまいそう……。
見つめていると手を取られ、憂太は自身の腰に私の腕を回し、ベッドの端に片膝をついた。
お腹に頬を寄せる。
――近過ぎて、おかしくなる。