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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第5章 君だけ


紫陽花を濡らす雨が止み、陽が肌をジリジリと刺す季節がやってきた。

廊下を歩いていると憂太の姿を見つけ、駆け出す。
パンダもいるようだ。
近くなってから、「憂太!」と呼んで、微笑んで返してくれる憂太を見た。

パンダと2人で見ていた窓の外に目を向ける。
花たちに水をあげる棘を見ていたようだ。

憂太の袖を軽く引っ張ると、その手を取られ、軽く握られる。
パンダには憂太の身体で見えていないだろう。

――秘密の関係みたい……。
そんな関係なんて、ないのに……。

「ゆう……っ!」

いきなり憂太の頭に何かが当たり、ビクッと肩を震わせた。
真希が後ろから、練習用の木槍で叩いたようだ。

繋がれていた手は、すぐに離れた。
――真希に見られていたかも……。

「おら。朝練行くぞ」

そんな真希を見て、パンダは揶揄うように笑い始めた。

「パンダ!何笑ってんだ。殺すぞ!」

「え〜、別に〜?」

なんか……みんなの中では、"憂太と真希"になっているようだ。
真希は好き。
だけど……。

頭をブンブンと振って、モヤモヤとするものを振り払った。

「真希さん、ちょっと!……刀に呪いを込めるの、もう少しスムーズにやりたいんだけど、何かコツとか……」

「知らねぇ。呪力のことは私に聞くな」

真希はほとんど呪力を持っていない。
その眼鏡がなければ、呪霊を視ることすら出来ないのだ。
でも真希には、その身体がある。

「憂太っ、頑張って!」

真希と共に朝練へ行こうとする憂太に、笑顔を向けた。
憂太も同じように返してくれた。

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