第5章 君だけ
髪を撫でてくれる手が気持ちいい。
「ごめんなさい……」
気をつけなきゃ……憂太を前にすると、理性がどこかに行ってしまう。
先程の憂太が怖かったけど、まだ傍にいて欲しい。
撫でている手とは別の手が、私の目線の先にある。
親指に指先だけで触れると、ピクッと動いた指が私の手を包み込んだ。
――憂太の中で、私はどこにいるの?
特別、だよね?
「……一緒に寝たい。ダメ?」
「さっきあんなことされたのに?」
戸惑いながら頷いた。
怖くても、傍にいたい。
少しすると憂太は、私の肩を軽く押す。
胸から離れて見上げると、ベッドの端に移動した。
「もう一緒に寝るのは、やめよう?千景のこと、怖がらせたくないし……」
ここで私が"やだ"と言えば、憂太は困るのだろう。
「……わかった」
憂太は軽く髪を撫でて、部屋を出ていった。