第2章 似ている
腕から降ろしてもらうと、手を握られた。
"逃げないように"とのことだ。
逃げても、どこに行ったらいいかわからないのに、どうしろと……。
「五条さん……」
「だから!"悟"ね、悟!はい、呼んでみて」
「さ、悟……私は、どうなるんでしょうか……?」
無理やり悟呼びにされ、その目元の包帯を見つめる。
「ん〜?僕の生徒になるって言ったでしょ?家族……いないんだよね?」
どうやら悟は、私のことを調べ上げた後のようだった。
その目で私を"こっち側"の人間だと判断し、ここに連れてきた。
「その……父、が関係あるんでしょうか?私の、この力……」
「父?……誰?」
悟の声のトーンが何段階も下がった。
私を産んですぐに亡くなった母しか知らなかったこと。
私の父親。
もしかしたら、私を育ててくれた祖母も知っていたかもしれないが、1ヶ月前に亡くなっている。
その祖母が最期に見せてくれた手紙――母からの手紙だった。
「ふ……伏黒甚爾?という人らしいです」
固まった悟は、次の瞬間には吹き出していた。
呆れにも似た渇いた笑い。
「そっかそっか。……君、独りじゃないよ」
悟は意味がわからない言葉を残し、誰かに電話をし始めた。