第4章 目覚める欲
「あの……さっきはほんとにごめん……私、どうかしてて……」
「うん、大丈夫だよ。そもそも、僕があんな時間に来たのがいけないから……」
優しく微笑んでくれる憂太に、ふるふると首を振った。
でも、憂太の顔は見れなかった。
憂太も意識してる?
ぎこちない沈黙が流れる。
少し目を泳がせてから、憂太の肩の服を軽く引っ張った。
こちらを向いた少し薄い黒の瞳に、目を伏せてから合わせる。
「……誰でもああいうことするわけじゃないから……憂太だけ……」
「う、うん……」
震えた私の声に同調するように、憂太の息が震えた。
目だけはずっと合ったままで、空気が変わっていく。
息苦しいのに心地よくて、気づけば私は、ゆっくりと憂太に近づいていった。
憂太も逃げることなく、こちらを向いたまま動かない。
でも、唇が触れるその瞬間、憂太が動いた。
「わっ、わ……あの、こういうのはっ……違うから……」
私の肩を軽く押さえ、顔を背けた。
少しチクッとした胸を無視して、謝りながら離れる。
ダメだ……憂太といたら、私が私でいられない。
慌てて部屋から出ていった憂太を、追いかけたかった。