第14章 君に触れて
「電話、出られなかったらごめん。出来るようになったらすぐかけ直すから!メッセージもたくさん送る!寂しくなったら寂しいって、会いたくなったら会いたいって、言っていいからね」
空港に着いて、千景の手を離せずに、握ったまま向かい合う。
荷物もまだ僕の手にある。
帰すと言っておきながら、帰す気がないのは僕の方。
千景は随分と明るくなって、あんなに帰りたくないと言っていたのに、今は僕を諭している。
「うん、ちゃんと言うよ。早く行かないと、乗り損ねちゃう……憂太……」
「うん……行かないで……ごめん。出来るだけ早く帰るから、待ってて」
思わず本音が漏れてしまうくらいには辛かった。
千景はもう大丈夫そう。
まだ忘れられてはいないと思うけど、不安定ではない。
千景の頬を持ち上げて、唇を奪った。
人の目など気にせず、押し付け続ける。
さすがに深いものにはしないけど、きつく抱き締めた。
姿が見えなくなるまで何度も振り向く千景から、目を逸らすことは出来なかった。