第4章 目覚める欲
「一色さん、入ってもいい?」
乙骨くんの前で泣いてしまった日から数日経った、ある日のこと。
あってないような消灯時間が近づく頃、部屋の中にコンコンと響いた。
スクッと起き上がって、扉を開ける。
乙骨くんは周りを確認しながら中に入ってきた。
こんな時間に私の部屋に乙骨くんが入ったことが知られると、色々と面倒だろう。
「乙骨くん、どうしたの?」
軽く腕を引きながら、一緒にベッドに座った。
最近、乙骨くんに触れることが多くなってきている。
気持ち悪いと思われていないだろうか。
それでも、無意識に触れてしまうから、どうしようもない。
「どうしたってわけでもないんだけど……一色さん、もう大丈夫かな……って。悩みがあるなら、聞くくらいなら出来るからさ」
優しいんだな……。
自分のことでいっぱいいっぱいだろうに、こうして私のことまで気にかけてくれる。
自然と、頬が緩んだ。
「ありがとう、乙骨くん。大丈夫だよ。なんていうか……乙骨くんのおかげで、もう大丈夫」
首を傾げた乙骨くんが、数秒止まった。
でもすぐに笑顔になって、「よかった」と息を零した。