第3章 春の痛み
その日の授業が終わり、寮へと戻る。
部屋に入って、力なくベッドに横になった。
もう何もわからない。
「一色さんどうしたの?大丈夫?」
私の視界にゆっくりと入ってきた乙骨くん。
どうやら声はかけたようだが、返事もないし、鍵も掛けていなかったから、入ってきたようだ。
「ん。乙骨くん……乙骨くんは、何か……」
それ以上は言えなかった。
"乙骨くんは何か……目的を見つけた?"
聞いたら負担になるかもしれないし、もし見つけていたのなら、私がおかしくなる。
何もない私は、彼の傍にいられなくなる。
「乙骨くん、私……ずっと、乙骨くんの傍にいたいよ……」
目頭が熱くなって、勝手に涙が零れてきた。
枕がどんどん濡れていく。
乙骨くんの姿が霞んでしまう。
私はここにいたい。
乙骨くんの傍にいたい。
ここを――私の居場所にしたい。
「……一色さん。それ、僕はどう受け取ったらいいの?」
眉を下げて困った表情を見せた乙骨くん。
でもその手は、私の髪を優しく撫でていた。