第14章 君に触れて
千景がこっちに来てから1週間ほど経った。
そろそろ帰さなければと思うが、手放せずにいる。
――セックスしたい……。
千景の状態を考えて、ずっと抑えていた。
何度誘われても、必死で耐えた。
来た頃とは別人のように笑う千景を見て安心すると共に、また離れ離れになってしまうのかと落胆する。
ホテルを何度か変え、景色を見る千景が飽きないようにしていた。
だからか今も、窓に張り付くように夜景を見ている。
「可愛いなぁ……」
「ん?なんか言った?」
漏れた言葉に反応した千景が振り向く。
クスッと笑って、両手を広げた。
「可愛いなって思って……夜景ばかりに見せてないで、僕にも見せて。千景の可愛い顔」
少し目を泳がせて、頬を染めている。
でもすぐに僕に飛び込んできて、小さな身体を包み込んだ。
別に千景は小さいわけではないと思う。
女の子では平均的。
でも僕からしたら、小さくて可愛い。
「……明日、帰ろっか。僕、えっちしたいなぁ……」
「やだぁ、帰りたくない……でも、えっちしたい」
拗ねたような声がくぐもって聞こえる。
僕の胸に埋まっているからだろう。
「僕だって帰したくないよ。でも、交流会に出るんでしょ?みんな待ってるよ」
胸に顔を擦り付けながら、必死に首を振っている。
諭しても、幼い子供のように駄々を捏ね続けていた。
僕に甘えているのがわかる。
千景はケニアに来てから、ずっと甘える声を発していて、可愛すぎて閉じ込めてしまいたかった。
普段よりも間延びした語尾、僕の名前を呼ぶ時の空気の抜け方。
全てが愛しい。
「憂太も一緒に帰ってよぉ……寂しい……」
「……帰ったらいっぱい甘えさせてあげるから。ね?」
見上げてきた千景は少し涙を貯めていて、拗ねた顔のまま、僅かに頷いた。