第3章 春の痛み
「憂太を……いじめるなぁああ!!」
大きな手が私たちに向かって伸びてくる。
「い"っ……!」
祈本里香は大好きな乙骨くんを攻撃されると、呪いが発動したり、しなかったりするようだ。
何もしていない私まで……ジンジンと痛む額を撫でた。
悟は乙骨くんに真希たちの紹介をし、授業の内容を話している。
それが終わり、5人で教室を出た。
「一色さん、ごめんね。庇おうとしてくれてたのに……」
「あ……ううん、大丈夫!」
廊下を歩きながら乙骨くんに声をかけられる。
私がリカちゃんの攻撃圏内いたから、巻き添えを食らってしまっただけのこと。
「なんで守られてるくせに被害者ヅラしてんだよ」
真希が乙骨くんに一方的に言葉を投げている。
刺々しすぎる言葉に止めようとしたが、真希が言っていることは、間違いではなかった。
「ずっと受け身で生きてきたんだろ。なんの目的もなくやっていけるほど、呪術高専は甘くねぇぞ」
私にも言われている気がした。
私の目的はなんなのだろう。
ただ連れてこられて、なあなあのまま流されてきた。
確かに伏黒甚爾とは一度、話をしてみたいとは思ってる。
だけど、それ以外は?
この身体にある力の使い方を知る為?
ただ、独りなった自分の居場所を探す為?
今はまだ、何もわからなかった。
「真希、それくらいにしろ!」
「おかか!」
真希はイライラしたまま、行ってしまった。
乙骨くんへの言葉だったのに、私はその場から1歩も動けなかった。