第3章 春の痛み
教室では悟がテンション高めに、転校生を紹介しようとしていた。
みんながシーンとしていると、「上げてよ……」と情けない声を発する悟。
「随分尖ったやつらしいじゃん。そんなやつの為に、空気作りなんてごめんだね」
真希の言葉に棘まで同意している。
そんな中、私はひとりでワクワクしていた。
やっと、乙骨くんと一緒に学校生活を送れる、と。
「ま、いっか。入っておいでー!」
溜め息をついた悟は諦めて、転校生を呼ぶ。
乙骨くんが教室に入ってきた瞬間、みんなが祈本里香の気配を感じた。
それぞれ武器を手にし、棘はネックウォーマーに指をかける。
「みんな、待って!!」
真希の呪具が乙骨くんの横で、黒板に突き刺さった。
悟、何も説明してなかったから……。
私もしたらよかったんだけど、驚かせたかったんだよね。
「お前、呪われてるぞ。ここは呪いを学ぶ場だ。呪われてるやつが来るところじゃねぇよ」
乙骨くんは冷や汗を垂らしながら、動けずにいる。
「ここは呪いを祓う為に呪いを学ぶ――都立呪術高等専門学校だ」
みんな、目だけで会話をしていた。
真希たちにも、乙骨くんにも説明をしていなかった悟。
私はさすがに乙骨くんには、どんな学校か教えていると思っていた。
悟が「離れた方がいいよ」と言うと、真希の呪具を掴みながら、大きな"何か"が現れた。
アレが、特級過呪怨霊――祈本里香。
すぐに3人は乙骨くんから距離を取った。