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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第12章 新しい波のなかで


一度自室に戻り、着替えをして身だしなみを整える。
少し目が腫れていた。

――そういえば……あれは悟だったのか。
じゃあ……悟とキスした?

はっとしてすぐに唇を擦った。
すぐに洗面所に行き、水をつけながら擦る。

「ごめっ……ゆうた、ごめん……」

そういしていると憂太が出発する時間が迫り、慌てて部屋を出ていく。
憂太は伊地知さんが運転する車に乗り込もうとしていた。

「憂太っ!」

車に乗っていた足を下ろし、両手を広げる。
そのまま憂太に向かって走っていき、その勢いのまま胸に飛び込む。

「浮気したら、許さないから」

「うん。来てくれないかと思った。千景もしないでね?」

髪を撫でながら降ってくる言葉に、キッと眉を釣り上げた。

「するわけないし!……あ。ごめん。悟とキスしたかも」

憂太を見上げると、見送りに来ていた悟を見ていた。
悟は慌てる様子もなく、「してないよ」と笑う。
自身の指を唇にトントンと当てていた。

あれは指だったのか。

憂太は視線を戻し、目が合う。
両手で頬を持たれて、キスをされた。

まだ不安は消えない。
まだ私の中で燻っている怒りがある。
それでも今だけは、笑顔で見送りたい。

「いってらっしゃい」

「うん、いってきます」

離れた唇は額に触れ、今度こそ憂太は車に乗って行ってしまった。
――もう寂しい。
昨日、我慢して一緒にいればよかった……。

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