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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第12章 新しい波のなかで


朝になり千景を起こさないように、ベッドを抜け出す。
椅子に座って授業の準備をしていると、扉が控えめにノックされた。
硝子だろう。

扉を開けて招き入れると、眉を潜めて睨まれた。
千景の姿を確認したからだ。

「なに?性行為の痕跡なくせとか言わないよな」

「まさか。足、治してあげてよ。起きる前にやってあげて」

反転術式での治療を遠慮したようだが、いつ任務が入るかわからないので、治してもらうことにした。

硝子が千景に手を翳すのを見て、僅かに息を吐き出した。
反転術式での治療を終え、硝子は包帯や湿布を取っていく。

「彼氏、怒ってんじゃないか?」

「ん〜?彼氏が浮気して、傷心で僕のとこ来た子だよ?まあ、憂太もここにいることは知ってるし」

僕たちが話していると起こしてしまったようで、千景がもぞもぞと動き出す。

「浮気じゃない。憂太はそんなことしない」

起き上がり、ボーッとしたまま呟いている。
――浮気じゃないのか。
例え憂太でも、ありえない話ではないと思ったけど。

「うんうん、そうだね。憂太は浮気しないよね」

ぐしゃぐしゃと頭を撫で、軽く答える。
――傍から見れば、憂太の方が"好き"が大きいように見えるもんな。

硝子にお礼を言うと、颯爽と帰っていった。

千景は俯いて目を擦っていた。
寝起き……だからではなく、泣いているようだ。

誰かを本気で愛するって、ほんと面倒臭い。

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