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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第12章 新しい波のなかで


みんながグラウンドで特訓をしている中、私はコソコソと硝子さんの元へ向かった。
呪力は使わず、普通の手当てをしてもらおう。

「硝子さん、足挫いちゃって……湿布とか包帯ってお願い出来ます?」

「いいのか?すぐ治せるけど」

頷いて足を診てもらう。
任務や戦闘で負ったわけではないのだ。
わざわざ、反転術式を使ってもらうのは忍びない。

軽度なので、治るまでそんな期間はかからないようだ。
またみんなに見つからないように寮に戻る。

今日、行くとも行かないとも言っていないが、どうやら誰も私のことは気にしていないらしい。
みんな、起きてそのままグラウンドに行ったようだ。

「千景。怪我したのか?」

「え?……あ、恵。うん、軽い捻挫」

声をかけてきた恵は軽く私の足に目線を飛ばし、いきなり抱え上げた。
所謂、お姫様抱っこをされ、慌てて「降ろして」と言うが、その気はないようだ。

どこに行くのか聞かれ、「寮」と返すと、恵はそのまま歩き出す。
これ以上騒いだら、みんなに気づかれるかもしれない。
恵の腕で大人しくしていた。

「乙骨先輩は?すぐ治してくれんじゃねぇか?」

「いい。やだ」

今、憂太の顔を見たくない。
何も悪くないのに、責めてしまうかもしれない。

その時、よく知った呪力を感じて、身体を強張らせる。
憂太の呪力が、ものすごい速さで近づいてくる。

「何してるの。どうしたの」

一瞬にして目の前に来た憂太は、恵に抱えられている私を一瞥した。
憂太から目を逸らして「なんでもない」と答えると、恵から奪うように私を抱えて歩き出す。

真希たちはいいのだろうか?

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