第3章 春の痛み
少しして、自分が何を言っているかに気づいた。
「一色さん、ごめんっ!そういうやつじゃ……っ!」
慌てて弁明しようとした。
だけど、一色さんの顔があまりにも寂しそうで、嬉しそうだったから、何も言えなくなった。
「わかってる。心配しなくて、大丈夫だよ」
一色さんは始めからわかっていた。
だったら、謝られた方がきついだろう。
だって、気づいてしまった。
――一色さんは、僕を"見てる"。
今はまだ、気づかないフリをしていよう。
どうして僕なんかを……。
「ははは。なんか僕、かっこ悪いなぁ……一色さん、かっこよすぎだよ〜」
一色さんは、表情を溶かして笑った。
綺麗な子がこんな風に笑うと、可愛いんだな……。
窓からの西日で伸びた一色さんの影が、燃えるように揺れて見えた。