第10章 百鬼夜行
「僕のとこおいで」と言っておきながら、どこに行ったかわからない悟に頭を抱える。
憂太と一緒に寮の外で待っていた。
沈黙が流れる。
チラチラと視線を感じていたが、気づかないフリを続けていた。
そうしていると手を握られ、頬に口付けられる。
「僕にはもう、君を守れるだけの力も何もないし、あんなことを言ったけど……まだ一緒にいてくれる?」
憂太は私を嫌いになったわけではなかった。
他の人の感触を知った私を、許してくれるのだろうか。
頬に手を添えられ、「こっち向いて」と憂太の方を向かされる。
目が合うと憂太は、少し目を細めた。
「君が夏油に襲われたとしても、関係ないからね。大丈夫、処女は僕が奪った」
何の話をしているのかわからず、首を傾げる。
"夏油に襲われた"?
憂太の話し方的に、性的な意味だろう。
気を失っている間に、何かされた?
特に違和感はない。
憂太と少しだけ進んだあの日のような痛みは、なかった。
「夏油が何か言ってたの?そういうことをしたのは、憂太だけだよ?」
今までもこれからも。
私の恥ずかしい場所を知ってるのも、恥ずかしい反応を知ってるのも、全部憂太だけ。
憂太の顔を覗き込んでいると、軽く唇が触れた。
離れる憂太の頬を掴んで押し倒し、深く口付けていく。
舌を絡ませながら、お互い欲に逆らわず、溶け合っていった。