第3章 春の痛み
乙骨くんとはあの後少し話して別れた。
自分でもよくわからない感情に、振り回されている。
いや、わからないのではなく、わかりたくはないのだ。
乙骨くんの目は私に向いていない。
それはよくわかっていた。
自覚したくはないと心に蓋をして、新しい校舎に足を踏み入れる。
乙骨くんはまだ、手続きなどが終わっていないらしく、一緒に授業を受けられるのはもう少し先。
呪術高等専門学校へと編入し、また1年生から始める。
教室に行くと、既に3人?の生徒がいた。
女の子1人に、男の子が1人。
もう1人は……パンダ?
悟から呪術高専や呪術界についてはひと通り聞いた。
だけど、同級生となる人たちについては聞いていなかった。
「あ、あの……よろしくね」
自己紹介をすると、女の子が禪院真希、パンダがパンダだとわかった。
パンダは……何も聞かない方がいいんだろうか……。
「えっと……君は?」
ネックウォーマーで口元を隠した男の子。
「こんぶ」
そう言って、手を上げた。
首を傾げると、軽くネックウォーマーを下げてくれる。
口の端から頬に、何かの模様がある。
タトゥー……?
呪言……悟が言っていた。
呪言師という呪術師がいると。
誰かわからないまま、「よろしくね」と言葉を返した。