第1章 はじまり
大学二年の夏休み。
「せっかくだし海行こうよ!」
そんな軽いノリで決まった旅行だった。
快晴。 照りつける日差し。 浮き輪を持ってはしゃぐ友だち。
ことみ自身もかなり楽しんでいた。
元々、感情が顔に出やすいタイプで、 楽しいとすぐテンションが上がる。
その結果——
「ちょ、待っ……!?」
普通に流された。
「え!? 待って待って待って!!」
最初は笑っていた。
浅瀬だと思っていたし、 浮き輪もあるし、 なんとかなると思っていた。
でも。
気づけば、友だちの姿がかなり遠い。
波が強い。
足がつかない。
「あ、やば……」
慌てて戻ろうとして、 さらにパニックになる。
おっちょこちょいなのは昔からだった。
焦ると余計失敗する。
水を飲んで、 息が苦しくなって、 視界がぐらぐら揺れて——
そのまま、意識が落ちた。