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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


御幸side

何とか0点で相手の攻撃を終えてベンチに戻ると
スタンドにいたはずのユキがいた。

「なんで、お前ここに――」
「今から御幸、診察受けるんですよね?」

俺の言葉を無視してユキは監督に話しかけた。

「あぁ」
監督は短く返す。

「私も付いて行っていいですか?」
「なぜだ」

お互い鋭い目で会話を続ける。

「昨日の私の所見が間違っていないか、確認するためです」
「それは昨日の時点でお前は御幸の怪我を知っていたということでいいのか」
「はい」

ユキの迷いのない返事に
周囲の空気が静まる。

監督はしばらく無言だった。

しかし、その視線は鋭いまま。

「……止めなかったのか」

その問いにユキは少し渋い顔をして目線を下げる

「止めました」

「でも、止まらなかったです」

静かにそう言い切るとユキは再び顔を上げた。

「なのでせめて、最後まで支えるために今朝の朝一でテーピングを施しました」

「……そうか」

どこか納得したような声で返した。
その目は少しだけ柔らかくなった。


監督は数秒考えこむように黙った後、
静かに口を開いた。

「なら、お前のいる場所はここじゃない」

一瞬、息を飲む。

しかし、

「みなと一緒に最後まで御幸を信じてやれ」

その言葉に周囲の空気が温かくなるのを感じた。

「はい!」

ユキは迷いなく返事をした。


「……御幸君、医務室行くわよ」

様子を伺っていた礼ちゃんから声がかかり、
俺とユキは一緒にベンチを後にした。

「テーピングの具合は?」
「問題なし」
「ならよかった」

短い会話をする

……ありがとな。

俺達にはそれだけで十分だった。


ユキはスタンドへ、俺は礼ちゃんと医務室へ
それぞれの方向へ足を進めた。
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