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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


序盤に得点を重ねた青道。

ベンチの空気も、観客席の熱も
すべてがこちらに傾いていた。

しかし――

空気が変わったのは、八回表。
降谷くんの怪我の再発。

ざわめきが広がる中、マウンドに上がったのは沢村くんだった。


ツーアウト二塁、カウントはツーツー。

八球目。
相手選手の球が三遊間を抜ける。

――抜けたはずだった。

「バックホーム!」

麻生くんの返球が一直線にホームへ伸びる。

タイミングは――アウト。

けれど
そのまま止まることなくランナーがホームに突っ込んできた。

「――っ!」

激しい衝突音。
舞い上がる土ぼこり。

一瞬何も見えなくなる。

「御幸…!」

思わずこぼれた声。

観客席にもざわめきが広がる。

次の瞬間
土ぼこりの中から出てきたのは――

倒れ込みながらもミットからボールを離さなかった御幸の姿だった。

審判の声がはっきりと響く。

「アウトー!」

湧き上がる観客席。

グラウンドでは球審から注意を受ける相手選手。

そして――
ゆっくり立ち上がって
何事もなかったかのようにベンチへ向かう御幸。

その姿が私には逆に違和感に感じた。

……私の気のせいであって……

私の思いとは裏腹に
違和感が現実のものとなるのは思っていたより早かった。

――延長十回表。

沢村くんは八回の動揺もなくなり
「ナイスピッチ!」

観客席からも声援が続く。

しかし――
御幸のリードは不自然そのものだった。

……何をそんなに焦ってるの?

いつもはもっと余裕のある
ピッチャーに合わせて流れを作るリード。

なのにら今は――
球数を抑えて、無理矢理打たせて終わらせようとしてる。

明らかに急いでいる。
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