第7章 約束の結末
私がまともに部活に顔を出せるようになったのは
準決勝の当日の朝だった。
「おはようございますー」
先に球場に着いていたレギュラー陣に挨拶をする。
「お!やっと過保護野郎からの許可出たかよ」
「そうなんだよー!ほんとに過保護!」
「誰が過保護野郎だよ」
倉持くんの茶化しに御幸の鋭いツッコミが入った。
……いつも通りのやり取り。
なのに、
視線があった一瞬、空気が止まった気がした。
すぐに逸らされた目に少し胸がザワついた。
――お見舞いの翌日、
熱が下がって学校へ行くと御幸に呼び出された。
「お前、試合の日まで来なくていいから」
「は?なんで?」
冷たい言い方に少しムッとした。
けど――
「今回熱が長引いたのは普段の疲労もあるんだろ?」
一瞬、ビクリと肩が反応してしまった。
……図星だったから。
「試合は2日後だ、お前も選手の一員ならしっかり休んで体調整えとけよ」
淡々とした言い方。
けれど――
……そんな目で言われたら、断れないじゃん……
その目にはちゃんと優しさが含まれていた。
「……わかった」
小さく頷いた私にそれ以上何も言わなかった。
ただ
ほんの少しだけ、安心したような息をついていた。
――そして今日
「体調、大丈夫かよ」
ふいに声をかけられて顔をあげる
「うん、もう平気だよ」
一瞬重なった視線は、すぐに逸らされた。
「……ならいい」
それだけ言って何事もなかったかのように前を向く。
……ほんと、分かりやすいんだか分かりにくいんだか。
「ほら、行くぞ」
その声を合図に、空気が一気に試合前へと変わる。
いよいよ――準決勝が始まる。
この時の私は想像もしてなかった。
御幸に降り注ぐ災難を――